「いい加減おとなしくしやがれ!このメス豚がっ!ここじゃお前は貴族でもホーリーナイトでも無いんだよ!俺たちを喜ばせるただの穴っぽこなんだよ!だいたい女のくせに騎士だなんて生意気なんだ!何様のつもりだ!おらっ。いいか。女はなあ、男の前で足開いて、あんあん言ってりゃそれでいいんだよ!」
男の張り手は強烈だったが、騎士として鍛えられ、またラムザ達と共にオーボンヌ修道院での戦闘から数週間、修羅場をくぐって来たアグリアスの気持ちをくじく事は無かった。男にあごを掴まれくさい息を吐きかけられても、アグリアスの怒りの眼光は男を刺し貫かんばかりだった。
「あ、このままじゃ足ひらかねえじゃん。ズボン切っちゃえ~♪」
先程ドレークと呼ばれた男がアグリアスの膝元で腰に下げていた短剣を取り出した。ニーガードとブーツが邪魔で皮足通しが膝から下に降りないのだ。
「バカ。服は取っとけって言われただろうが。全部脱がすんだよ。よし、まず左足からいこうぜ」
外側を取り巻いていたチンピラの一人がブーツの上からアグリアスの左足首にはまっていた足かせの留め金を引き抜いた。
アグリアスは今がチャンスかと思ったが、ズボンが下ろされていて膝の自由が利かない上に、他の男たちが左足を3人がかりでがっちりと抱え込んでいるので、結局どうにも出来なかった。アグリアスは更に4、5人の男たちに腰の高さに抱え上げられた。男たちは一斉にアグリアスの装備を外しにかかる。
「やめろ!やめないか!貴様ら後悔するぞっ!殺してやる!必ずだ!やめろぉ!」
「うるせえな!もう!これでも咥えてろ!」
一人がアグリアスの口の中に、革のぼろきれのような物を押し込んだ。
「むぐう!」
大きすぎる物が無理やり押し込まれると、舌の力ではもはや押し出せない。かなり固い物なので噛み切る事もできず、以後しばらくアグリアスは強制的に革の苦い味を味あわされることになった。
その間にも装備は外されてゆく。
ニーガード、左ブーツ、エルボーガード、ショルダーガード、ブレストガード。どれも女性用に軽めに作られた聖近衛騎士団の官給品だった。オーボンヌからこちら、ずっとこれで切り抜けてきたのだった。それが男たちの手であっけなく外され床に転がり、ガラガラと無様な音をたてた。そしてついになめし革のズボンが左足から抜き取られた。右足のブーツとズボン以外アグリアスに残されたのは藍染めの革の上着(ダブレット)と、チョコボ騎乗用の革製の股当てだけになった。
「よし!引っ張れ!」
「むーっ!むーっ!」
もちろんアグリアスは抵抗した。だが、その抵抗も数秒ともたなかった。大の男に5人がかりで足を左右に開かされては、そうそう耐えられない。それどころか身をよじるしぐさそのものが男たちの欲望を更にあおっていた。
「くっ!なんつう股の力だ。ミノタウロスかっ、てんだよ!」
しかし、ついにアグリアスの秘部は下水のネズミにも劣る最低の男たちの目にまざまざと晒された。
「おーっ!年の割りにきれいなおまんこだ」
「使い込んでねえとこうなんだな、やっぱ」
「処女膜もばっちり残ってるぜ」
「形のいいまんこだー」
「おい!灯りもってこい」
一人がろうそく立てから一本持ってきた。
「ほらほら!こうするとおまんこのすみずみまでよーく見えるだろ?な?ホーリーナイト様!」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
なんという屈辱か!秘すべき場所を複数の見も知らぬ男どもにあばかれ、その忌むべき名を何度も投げつけられ、品定めまでされ、今また灯火のもとで全てを鮮明に見られてしまったのだ!
目頭が熱くなりそうになるのを必死でこらえながら、しかしアグリアスは心の中で悲愴な涙を流した。
『ああ・・・、私はもう、完全に汚されてしまった・・・。たとえ万が一、この場を生き延びることがあったとしても、もはや女の幸せなどつかむ事など叶わぬのか・・・』
聖近衛騎士として王女のおそばに仕えたときから、適齢期での結婚など諦めていたと言うのに、それでもすがっていたわずかな望みが、これで断ち切られてしまったとアグリアスは絶望したのだった。
むろんアグリアスはうぶな少女ではない。男と女が契りを結ぶという事がどういうことかはよく知っていた。だから自分が肉体的にはまだ何もされていない事、貞操はまだ守られている事は分かっていた。だが、アグリアスの悲しみはそういう事ではなかった。
この時代の女性は、騎士になる事ができ、男と肩を並べて戦場を駆けることも出来た。とはいえ、戦場でも貴族社会においても権力を持っていたのはやはり男であり、ゆえに女性の価値はしょせん男性側の視点からのものでしかなかった。つまり美貌と、結婚前の純潔と結婚後の多産。それが女性の価値の全てであった。秘部をさらす事は、いや例え腹部であっても普通人目に見せぬ部位の肌をさらす事は純潔を失う事であった。それゆえ、どんなに素晴らしい技量があっても、踊り子はしばしば売春婦と同一視された。
だからアグリアスは、もはや自分の純潔は失われた、と思ったのだった。
「♪いっただっきま~す!」
ドレークと呼ばれた男がアグリアスの股間に顔をうずめた。
「!!!?んうーっ!ん"ーっ!!?」
アグリアスは自分の股間で何が起こっているのか、上がってくる感覚からは始め理解する事が出来なかった。
ちゅばちゅばっという音を聞いて初めて、ドレークと呼ばれた男が自分の性器を舐めているのだと分かると、激しい衝撃を受けた。
『そんなっ!その様な汚れた場所を舐めるなどっ!まともじゃない!悪魔の所業ではないか!』
異常な事をされているという事実がアグリアスを動揺させた。異常な精神の持ち主に身体をまざぐられている、そしてこの先何をされるのか分からない、という恐怖がアグリアスを襲う。
この時代には、現代ほどには性情報が流布していない。特にベッドの中の行為における個々人の特殊な性的嗜好など声高に語られる事の無い時代であったから(下層階級は別)、アグリアスのような騎士達の間では性交渉といえば、接吻、お触り、挿入、だった。
そして一般に、「普通行われない行為」は「悪魔の行為」であり、すなわち「神に背く行為」であった。信仰心(faith)が魔力の源でもあったこの時代、神の力、すなわち神の存在そのものは疑う余地の無い真実である。それが、他人に強制されたとはいえ神に背いてしまったのだから、アグリアスの恐怖は計り知れない。
『おお・・・、神よ・・・。お許し下さい・・・。けして・・・けして、私が望んだ事ではないのです!そしてまだ御加護を下さるのなら・・・どうか、私をここから出して・・・いえ、私よりも先にオヴェリア様をお・・・・・・・・』
ちゅばちゅばちゅば!ちゅうぅぅぅーっ!!じゅるじゅるじゅるじゅるっ!
「!!!ふん"ーっ!ん"はーっ!ん"ううーっ!むん"ん"ーっ!!」
神への必死の祈りも、ドレークの執拗かつ強烈な舌さばきから生まれ全身を支配しようとする異様な感覚についにかき消されてしまった。体の内側を走るその感覚は、戦闘時の物理攻撃による衝撃や攻撃魔法をくらった時のダメージとはまったく違った。未知の感覚。いや、何かに似ている。体内を駆け巡る熱さに身をよじりながらアグリアスは必死に記憶をたどった。何なのか分かれば、対処できないまでも心構えが出来るかも知れない。
バーサク状態?いや、ケアルガ、アレイズの様に致命傷から一気に全快する時の快感に似ている・・・。快感!?まさかそんな!こんな異常な事をされて!?
ぴちゃぴちゃっ!れろれろれろっ!ちゅぶちゅぶっ!
「ん"おっ!ほはぅっ!ふぐっ、ふぉーっ!!ふわぁっ!は、ん"ぐっ!ん"ん"ーっ!!!」
心では認めなくても、体が快感を認識してしまってはもう止まらない。男の舌から送り込まれる刺激に全身をムチのようにしならせてのたうち回っても、快感を防ぐには何の意味もなかった。
ドレークの舌は執拗にアグリアスの秘部を舐め回し、吸い付き、隅から隅までほじり返した。望みもしない快感を送り込まれ、アグリアスは屈辱と羞恥で死にそうになったが、それもこの後のドレークの攻撃に比べれば大した事はなかったのだった。
「どうした?ホーリーナイト様!へへへ、感じが出てきたみたいじゃねえか・・・。気持ちいいのかぁ?」
後ろから胸を揉んでいた男が、アグリアスの耳元でなぶるような口調で言った。
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